東京の坂と橋 四方山話76 江戸の町3 大江戸ごみ事情3 古紙のリサイクル [東京の坂と橋]
今日も帰宅してお風呂に入ったら、もう日付が変わろうとしています。
そこで、またまた手抜きでごめんなさい。
このゴミのシリーズでは、生ゴミ、下肥、灰ときましたが、今日は『紙』をテーマに取り上げてみましょう。
今までの記事は、次の表のタイトルにリンクを貼り付けていますので、そこから興味のあるタイトルをクリックしていただければ、該当の記事が開きます。
No | 日 付 | タイトル | サブタイトル |
---|---|---|---|
1 | 2012/04/07 | 江戸の町1 | 江戸の範囲 |
2 | 2012/04/12 | 江戸の町2 | 町人の暮らし向き1 庶民の生活 |
3 | 2012/04/28 | 江戸の町2 | 町人の暮らし向き2 江戸の休日 |
4 | 2012/05/05 | 江戸の町2 | 町人の暮らし向き3 江戸の物価 |
5 | 2013/01/28 | 江戸の町3 | 大江戸ごみ事情1 生ごみ・下肥リサイクル |
6 | 2013/01/30 | 江戸の町3 | 大江戸ごみ事情2 灰のリサイクル |
さて、江戸時代には様々なリサイクルを業とするものがいましたが、古紙を集めるのもその一つです。
大棚などの商家を回って古紙を回収するものから、背中に籠を担いで街中に落ちている紙を拾うものまでいました。
集まってきた紙は漉き直すのですが、その行程は概ね次のような手順になっています。
川の水で冷やかして洗う
↓
煮て溶解する
↓
たたいて細かく分解する
↓
漉き直す
洗っただけでは、紙にしみこんだ墨は十分に取り除けないことから、出来上がった紙はねずみ色をしていました。
この紙が所謂『浅草紙』です。
残念ながら未だ訪れたことがないので写真はありませんが、台東区山谷に『紙洗橋』がありました。
(実はこのねたは、『紙洗橋』を取材してからアップしようと思っていたのですが、話の流れから、ここでアップします(^^;っっ)
浅草中心にこの紙のリサイクル業者が集まっていたことから『浅草紙』と呼ばれるようになったようです。
それではこの『浅草紙』は、何に使われたのでしょうか?
浅草紙は、江戸時代には別名『落とし紙』とも呼ばれていました・・・といわれても、まだ判りませんね。
またの名を『ちり紙』といえばお判りでしょうか?
今風に言うと『トイレットペーパー』ですね。
つまりこの事実から、江戸の町の人々は、用を足した後は紙で拭いていたということです。
用を足した後紙を使うのは、世界的にみても先進的文化を持っていたということですね。
現代でも用を足した後は、葉っぱで拭いたり、縄でこすったり・・・
漉いた浅草紙は、約19cm×約21cmの規格に切りそろえられて束にして売られていました。
さて、その浅草紙と同じくらいの大きさのものに、『浅草海苔』があります。
『浅草海苔』というと、江戸前の海苔のことを言いますが、その名前の由来は、諸説あります。
その一つは、浅草の門前で売られたからというものです。
しかし私はこの説よりも次の説のほうが説得力があると思います。
それは、「『浅草海苔』の製法に、『浅草紙』の製法を取り入れたから。」というものです。
江戸時代以前の海苔は、海から採ってきたものを単に乾燥させただけのものでした。
ある日、浅草で『浅草紙』を漉く様子を見て、採ってきたのりを細かく刻み、刻んだ海苔を漉いて乾かして板海苔とすることを発明したことから『浅草海苔』とい言われるようになったというものです。
『浅草紙』は、ティッシュペーパーのご先祖様ですが、一般的なボックスティッシュを広げて、海苔1枚とその大きさを比べてみてください。
どちらもほぼ19cm×21cmで同じ大きさなんです。
『浅草紙』つながりで、もう一つ?
買う気がないのに、売り物を見たり、価格を聞いたりすることを『ひやかす』といいますが、この『ひやかす』という言葉の由来も、実は『浅草紙』から来ています。
冒頭で『浅草紙』の製造工程を説明しました。
その第一の工程で「川の水でひやかして洗う」とありますね。
紙を漉くのに、川からくみ上げた水を貯めた水槽に回収してきた古紙を投げ入れて、2~3時間水を染み込ませて軟らかくします。
この工程を『冷やかし』といいました。
古紙を冷やかしている間職人達は暇になるので、時間つぶしに吉原に繰り出して、遊女たちをからかって帰るだけなので、彼らのことを『紙を冷やかしてきた連中』・・・ということで、買う気もないのに、遊女をからかうことを『ひやかす』と言われるようになったとか。
ゴミの回収の話しが大きくそれたところで、今日はこれくらいにしておきましょう。
・・・つづく
古紙回収、昔はもっと来てたのに・・・・
最近は見かけなくなりましたね(-"-;)
by nano (2014-01-31 04:01)
おはようございます
面白い話題で、興味がわきますね!
by すー (2014-01-31 04:31)
冷やかし・・・成るほど・・・と〜納得させられました(笑)
by 沈丁花 (2014-01-31 04:49)
こうした話が大好きです。
続きが楽しみですよ^^)
by katakiyo (2014-01-31 05:53)
おはようございます。
流石です・・・紙は文化のバロメーター(死語)とは良く云いましたね。
海苔までは知りませんでした。
by YUTAじい (2014-01-31 06:35)
おはようございます^^
これから四角い海苔を見ると‘落とし紙’を思い出しそう(><;;;
by mimimomo (2014-01-31 06:41)
紙の再生技術も昔から優れていたのですね。
冷やかす。。。なるほど。。。私も冷やかしに行きたいです。^^;
by ナビパ (2014-01-31 06:47)
なるほどですね☆
冷やかすのは得意です~(@@;))
by 獏 (2014-01-31 06:49)
冷やかし・・・そんな理由だったのですね^^
浅草海苔や灰色のチリ紙、冷やかしがこんなところで繋がっていたなんて
かなり昔、灰色のチリ紙を見た事がありましたが、今は見ませんね
今も売っているのかなぁ
by さる1号 (2014-01-31 07:06)
冷やかしの語源がこんなとこにあったとはっΣ(゜Д゜;
by 下総弾正くま (2014-01-31 07:09)
「冷やかし」とはそんな意味からきている言葉だったのですね~
それにしても、駅員3さんって色々な事ご存知ですよね!
勉強になります♫
by viviane (2014-01-31 07:44)
面白い話し・・・・
冷やかす・・・・そういう訳があったんですね。
日々学習。^^
by hatumi30331 (2014-01-31 08:04)
言葉は色んな意味を持っていますね!
昨夜は飲み会で遅かったので眠い朝を迎えています(笑)
by ma2ma2 (2014-01-31 08:05)
ふふふ
言葉の語源って ワクワクしますね♪
by ねこじたん (2014-01-31 08:12)
お早うございます。
ウーム素晴らしい。
by 夏炉冬扇 (2014-01-31 08:59)
四角に切った鼠色の紙は戦後紙が出始めた頃も同じで爺も使ってましたよ。
by 旅爺さん (2014-01-31 09:10)
昭和三十年生まれですから
子どもの頃は、その浅草紙つかってました。
ごわごわで不快だったけれども
母の実家では新聞紙だったので
浅草紙のほうがまだマシだったのかも。
by まこ (2014-01-31 09:15)
おはようございます、今日はかなり寒さも和らいで朝散歩も楽でしたね。
成る程江戸の知識勉強になりましたね、一時期は新聞紙を四角に切った物を使ってました、その後やはり四角い皺が寄った紙でしたね。
江戸時代の人達は加成文化が進んでいたんですね。
by 馬爺 (2014-01-31 09:31)
江戸時代からトイレットペーパーが有ったとは知らなかったです
それだけの文明が発達していたから、200年以上持ったんだろうなぁ~
by くまら (2014-01-31 09:38)
「落とし紙」そう言えばありましたね。灰色でザラザラのやつ。(^_^ゞ
トイレットペーパー、それまでは新聞紙でした。
今思えば、肌触りの悪い「落とし紙」でしたが、当時は快適な気がしたものです。
by 路渡カッパ (2014-01-31 09:52)
江戸時代に紙は大変な貴重品だったでしょうから、
お尻を拭くのに使っていたのは文化の高さの証明ですね。
「ひやかし」は落語の枕で聞いた事がありました(*゚∇^*)
by johncomeback (2014-01-31 09:56)
おはようございます。紙の薄さも時代とともに進化していますね。勉強になりました。^^;
by ソニックマイヅル (2014-01-31 09:57)
とても勉強になりました(^^)
by (。・_・。)2k (2014-01-31 11:34)
へぇ、『ひやかす』ってそういう語源だったんですねぇ(@_@)
勉強になりました(^O^)
by ニッキー (2014-01-31 15:21)
遠ぉ~い遠ぉ~い昔に、
落とし紙って言っていましたね。。
イヤイヤ勉強になりますね。。
流石です。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2014-01-31 18:15)
小説「坊ちゃん」の中で、下女の清から貰った三円を蝦蟇口へ入れて、懐へ入れたなり便所へいったら、すぽりと後架(こうか)の中へ落としてしまうという件を思い出してしまいました。
清が蝦蟇口を拾って井戸端で洗い、火鉢で1円札を乾かしていましたね^^;)
by 風来鶏 (2014-01-31 20:04)
こんばんは。相変わらず面白いお話で、楽しませてただきました。「ひやかす」という言葉は、私の世代では 食後のお茶碗についたご飯が取れにくいので、水を張ったボウルに入れてひやかす、などと日常的に使っていました。明日の講演と親睦会、行けずにすみませんね。みなさんによろしく。
by sig (2014-01-31 20:19)
冷やかす、ってそういう意味だったんですか~
おもしろいですね(^^
by 美美 (2014-01-31 21:55)
こんばんは。
古き良き時代から学ぶとなりますか。
大したものです。
何か、大きな発見にぶち当たるかも知れませんね。
そのときは楽しみにしています。
by はせお (2014-01-31 23:28)
浅草海苔と当時のリサイクルトイレットペーパーの作り方が一緒とは!
食べ物とトイレットペーパー…。
う~ん(><) ビックリです。
by だいず (2014-01-31 23:48)
とても勉強になりましたです^^
こういう話を聞くと、普通に歩いていた浅草界隈がまるで違った目線でみることが出来ちゃうんだから楽しいです!
自分は広く浅くの人間ですが(広くもないけどw)
道・坂・建物の名残りとか見るのが大好きです☆
by ちょいのり (2014-02-01 02:45)
こんにちは。
浅草海苔はトイレットペーパーと同じ製法とは^^。
ひやかすの語源も面白いですね。
by 海を渡る (2014-02-01 15:14)
海苔の形とちり紙の形,確かにそっくりですね.
冷やかしの話といい,面白いです!!!
by 唐津っ子 (2014-02-02 00:33)
私たちの上の世代の人たち、
戦時中などは、新聞紙に習字の練習をして
裏表真っ黒になるまでされたそうです。
by そらへい (2014-02-02 12:10)