東京の坂と橋 144 下程久保橋 “民話のふるさと” [東京の坂と橋]
名前 | ふりがな | 別名 | 所在地 | 北緯 | 東経 | 全長 | 全幅 |
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下程久保橋 | しもほどくぼぱし | ― | 日野市程久保 | 北緯35度39分21秒 | 東経139度24分38秒 | 9m | 7m |
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今まで取り上げてきた橋は、ほとんどが有名な橋ばかりだったが、今日はとてもローカルな橋を紹介したい。
地元の人でも知る人は少ないと思う。
多摩都市モノレールは、標高72mの高幡不動駅を出発すると、標高145mの明星大学と中央大学の間にあるトンネルへと緩やかに動物公園通りを上っていく。
進行方向右側を見下ろすと、道と平行して『程久保川』が流れている。
程久保川は『谷戸川』とも呼ばれ、多摩動物公園、中央大学裏、旧多摩テックなどの山から湧き出た清水を集めて、多摩川へと向かう全長わずか4kmの一級河川だ。
川の両側は、遊歩道として整備されている。
モノレールは『高幡不動駅』を出発すると、程なくして『程久保駅』へと滑り込む。
その程久保駅のすぐ下の程久保川にかかる橋が『程久保橋である。
なんの変哲もない小さな橋だ。
我が家はこの橋からモノレールの反対側の山を登ったところにあり、歩くと数分という近さだが、地元の人でも、ここら辺に家のある人しか通らない。
程久保駅を出て下程久保橋を渡ると、その先に『六地蔵』が祭られている。
この六地蔵は、江戸時代中期の1795年(寛政7年)に、ここ程久保村の女念仏講の人たちによって、村人の苦しみを救い、村内が平和で、幼くして亡くなった子供たちが地蔵菩薩に救われるようにと、建立されたという。
(この小道の奥が程久保橋、そしてその先に見えているのがモノレール程久保駅だ)
そして、ここにはあの『小泉八雲』が世界に紹介した物語の故郷でもある。
1897年(明治30年)に『仏陀の国の落穂』(Gleanings in Buddha-Fields)を欧米で発表した。
この中にある『勝五郎の転生』という話が、ここ江戸時代の程久保村に起こった出来事なのである。
勝五郎から直接話を聞いた平田篤胤も、『勝五郎再生記聞』を著し、上洛した折に天皇にもお見せし、御所でも大変評判になったという。
【物語のあらすじ】
中野村(現在の八王子市中野・・・中央大学の南側)で生まれた勝五郎は、8歳になったとき「自分は程久保村(現在の日野市程久保)の藤蔵の生まれ変わりだ」と、両親や兄姉に話した。
最初のうちは両親も放って置いたのだが、何度も前世のことを詳しく話し「程久保村に連れて行って欲しい」とせがむので、祖母は、勝五郎を連れて程久保村へと向かった。
程久保村に着くと、勝五郎は真っ先に藤蔵の生家へと駆け込んだ。
祖母は、藤蔵の両親に勝五郎の語った一部始終を話した。
勝五郎は、来たことのない藤蔵の生家のことを良く知っていて、「向かいのたばこやのあの木は無かった」などと言って、藤蔵の生きていた頃と変わった様子などを話し、周囲を驚かせた。
その後、このうわさを耳にした鳥取池田家支藩の元藩主池田冠山は、幼くしてなくした娘の再生を願って、勝五郎を直接訪ねて話を聞き、『勝五郎再生前生話』を著して、江戸で話題になったという。
藤蔵の家が、この六地蔵の前にあったという。
藤蔵は、このお地蔵さまの前で遊んだに違いない。
・・・つづく
こんばんは。
モノレールの駅って結構ゴツイのですね!?
小泉八雲が関連している地。面白そうですね^^
by perseus (2011-09-04 00:35)
「○○の生まれ変わり」
と言う人はよくいますが・・・前世の人の見聞を口にするケースは無いですね。風変わりな物語です。
by me-co (2011-09-04 00:36)
おはようございます。
武蔵野の面影・・・・でしょうか!!
by BPノスタルジックカーショー (2011-09-04 05:18)
お地蔵さんが良いですね。
昔の人はお地蔵さんを建て願いを込めましたが、現代ではお地蔵さんに代わるものが無い様な気がします。 豊かになってしまって、心のよりどころは何処に行ったんでしょうか?
by kotobuki1946 (2011-09-04 05:53)
おはようございます。
民家の一角に存在感のあるお地蔵さんです。
by YUTAじい (2011-09-04 06:14)
川がある風景って良いですね。
by pandan (2011-09-04 06:42)
おはようございます
何か生まれ故郷の姿を見るような・・・懐かしさが、実際はもっと田舎ですが(^-^)
by すー (2011-09-04 08:26)
多摩都市モノレールを何回か利用しましたが
眺めがよく見晴らしが気持ちよかったです。
by ナビパ (2011-09-04 09:15)
六地蔵って、六道を表してるんですね・・
by くまら (2011-09-04 09:18)
そんな不思議な事があったとは。
それもモノレールの駅からすぐ近くなんですね。
by manamana (2011-09-04 10:07)
静かな住宅街に昔話由来のお地蔵があるのですね。
武蔵野ののどかな風景が見られるこの地域。
住んでみたいなぁと思う地域です。
by orange (2011-09-04 11:53)
続きが気になりますね。
by そらへい (2011-09-04 18:42)
503号線の方は抜け道として、また客扱いでタクシー時代に使いましたが、
こちらの橋は行ったことがありません。
歩いてみないと見過ごしてしまいますね。
by しおつ (2011-09-04 19:53)
そういうことがあったのですか。
この地域は以前散歩をしたことがあるのですけれど、知りませんでした。
予習が大切ですねえ。
by ナツパパ (2011-09-04 20:36)
こんばんは
モノレールかっこいいですね
六地蔵様に惹かれます
その後ろの木にも。。。
by はくちゃん (2011-09-04 21:05)
程久保駅って、モノレールみたいな駅なんですね。
by jamaica (2011-09-04 21:26)
私の通勤路からすぐ近くのマイナーなお話が出てきたことにとても驚きです!
普段は車で通過してしまってばかりでしたが、あるときこのお話を読んでから多摩動物園に自転車で行った際に見てきました。
この六地蔵様はとても風情が在ります (^^
by レイリー (2011-09-05 00:05)
ああ、こちらにお住まいでしたか。お地蔵さまが残っている様子など、うちの近くと雰囲気が似ています。
勝五郎のお話、不思議ですね。
by sig (2011-09-08 15:39)