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東京の坂と橋 番外編35・・・東京駅10 [東京の坂と橋]

今まで書いてきた東京駅の話題は、以下のリンクからもご覧になれます。 

⇒東京駅1 開業当時のホーム 
⇒東京駅2 復元工事中の東京駅
⇒東京駅3 東京駅今昔物語
⇒東京駅4 東京駅建設予定地
⇒東京駅5 通過式の駅
⇒東京駅6 市街高架線の建設
⇒東京駅7 バルツァーが描いた基本プラン
⇒東京駅8 中央停車場の建設
⇒東京駅9 中央停車場の建設2

Manseibashi station, a prototype of Tokyo Station
《東京駅の原型、万世橋駅》

85年の歴史に幕を下ろした万世橋にある交通博物館は、かつて東京駅が出来るまで中央本線のターミナルである『万世橋駅』があった。
交通の要衝として、東京でも有数の繁華街であったこの地に建設された駅舎は、ルネッサンス式とも、辰野式とも言われるレンガ・石積(一部鉄骨造)の二階建てで、関東大震災による火災で焼失するまで、芥川龍之介や、菊池寛ら文士の集まるサロンにもなっていた。

このブログの番外編1がその万世橋駅を取り上げているので、よろしければそちらもご覧頂きたい。
⇒東京の坂と橋 番外編1 万世橋駅遺構

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(万世橋駅遺構特別公開時に携帯で撮影)

東京駅と共通性を持つレイアウトの華麗な駅舎を設計したのは、辰野金吾と葛西万司である。
既に東京駅の設計を委嘱されていた辰野にとって、東京駅の習作としての意味合いもあったと考えられる。

万世橋駅は、東京駅工事中の1912年(明治45年)に開業した。
次の写真は、万世橋駅の図面である。

万世橋駅図面.jpg
(東京駅工事中の外板に掲出されている写真より)

一階入り口を入った正面に出札広間があり、出札所と2ヶ所の改札口がある。
集札口と小荷物渡場は左側に置かれ、乗降の分離が図られていた。
広間の周囲に1,2,3等待合室と婦人待合室が配されている。
2階には第1から第3まで食堂がある。
高架下には改札口からプラットホームに向かう通路が2ヶ所、集札口に向かう通路が1箇所設けられている。
プラットホームは長短2面が設定され、長い方は中央停車場に発着する長距離列車専用、短いほうは電車専用とされている。
この図面では、神田方向に4線(複々線)の線路が記入されているが、この時点では万世橋⇔神田間は複線のみとなっている。
また、実際の長距離用プラットホームはこれほど長くはなく、この平面図は竣工図面ではなく、計画段階での図面ではないかと思われる。

万世橋駅は、1912年(明治45年)4月1日に開業した。
万世橋通りと、昌平橋通り交差する須田町交差点前に建設された。
駅書はレンガ造り2階てで、各所に多彩な装飾が施された華麗なものである。
次の写真は、開業式の様子を捉えたもので、駅舎には装飾が施され、校舎口周辺に幔幕が張り巡らされて、多くの人が集まり賑わっている。
写真右端には、南極探検で世界に名を轟かせた廣瀬中佐と杉野曹長の銅像が立っているのがお分かりだろうか。

DVC00093.JPG
(東京駅工事中の外板に掲出されている写真より)

次の写真は、御茶ノ水側の高架線上からみた万世橋駅の駅舎とホーム。
正面に見えているホームが電車用、左側が長距離列車用のホームがある。

DVC00091.JPG
(東京駅工事中の外板に掲出されている写真より)

次の写真は、レンガ造りの駅舎に入るとここ出札広間に入る。
中央に出札所(切符売り場)があり、その両側には改札口が配されていた。
この改札を抜けると、高架下のプラットホームに向かう通路へと続いている
プラットホームに向かう通路は、冒頭の写真にある通路だ。
天井中央は丸屋根になっていて、ターミナル駅にふさわしい威容をそなえている。 

DVC00087.JPG
(東京駅工事中の外板に掲出されている写真より)

次の写真は、待合室の様子だと思われる。

DVC00085.JPG
(東京駅工事中の外板に掲出されている写真より)

次の写真は関東大震災で焼失した直後の様子である。

DVC00084.JPG
(東京駅工事中の外板に掲出されている写真より)

翌1924年春に仮駅舎で開業する。
今までの威風堂々とした駅舎から、すっかり質素な駅舎になったという。
その後1936年(昭和11年)4月26日に交通博物館が万世橋駅に併設される。
1943年(昭和18年)に、戦火が激しくなってくると、ここ万世橋駅は、不要不急の駅とみなされて廃止される。
解体された駅舎の資材は、京浜東北線新子安駅の建設に流用されたといわれている。

実は、万世橋駅は法律上は『廃止』ではなく、『休止』扱いとなっている。

万世橋にはもう一つ駅があった。
『東京地下鐵道萬世橋假停留場』である。
神田川を挟んで、北側に位置する。
上野⇔浅草間に地下鉄を走らせた東京地下鉄道は、新橋に向かって南下する。
その際ネックとなったのが、神田川を越えることである。

当時の地下鉄建設は、開削工法といって道路から掘り下げて作られていた。
神田川の底をくぐるとなると、大工事となり、時間もかかることから、神田川を越える手前に仮駅を設けて暫定開業したのが、万世橋仮停留場である。
1930年1月1日に開業し、1931年(昭和6年)11月21日に神田駅まで延伸開業したのに伴いわずか23ヶ月弱の短い役割を終えた。
その駅の場所は、秋葉原の石丸電気生活家電館前にあたる。
歩道上に、当時の出入口が銀座線の通風口として残っている。

万世橋入り口.jpg

 


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コメント 12

HAL

このあたりは資材調達に良く行く場所ですがこんな歴史があったんですね~。ちょっと感動です。
by HAL (2009-10-10 22:59) 

qoo2qoo

こんばんわ☆
いつもありがとうございますo(´▽`*)/
いつも歴史の勉強になります(●^o^●)
いろいろ資料が残っているんですね!!
by qoo2qoo (2009-10-11 00:09) 

nexus6

ナルホド (`・ω・´)
車両偏向指向の私と違って、いつもアカデミックなのであります。

by nexus6 (2009-10-11 00:10) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

いやあ・・・・お勉強になりますね。
ここまで調べるのも大変でしょう!!
by BPノスタルジックカーショー (2009-10-11 05:03) 

emu310

子どもの頃から交通博物館にはよく行きましたが
初耳ばかり、よく調べてまとめましたねー。
「万世橋駅」世に出ましたね。
by emu310 (2009-10-11 05:59) 

sak

どこにもいろんな歴史があるのですね
勉強になりますφ(..)メモメモ
by sak (2009-10-11 09:07) 

お茶屋

これまた貴重な情報を・・・ありがとうございます!
by お茶屋 (2009-10-11 17:00) 

さといも野郎

んー、休止、とは微妙な扱いですね、万世橋駅。。
by さといも野郎 (2009-10-11 17:02) 

かずのこ

特別に鉄道ファンではありませんが、なぜか秋葉原に行くと、万世橋のことを思い出します。

by かずのこ (2009-10-11 20:11) 

空兵ーS

万世橋というと、秋葉原を連想しますが、
ここがもと駅だったとは驚きですね。
しかもかなり立派な様子だったようですね。
by 空兵ーS (2009-10-11 21:37) 

駅員3

HALさん、qoo2qooさん、ほりけんさん、燕っ子さん、xml_xslさん、nexus6さん、junさん、kskouzikさん、BPノスタルジックカーショーさん、emu310さん、ガンバルおやじさん、いわもっちさん、magicalkidさん、今造ROWINGさん、jirocharさん、みかんママさん、sakさん、くまらさん、キャラハンさん、genさん、ナカムラさん、小父蔵さん、空楽さん、トメサンさん、たくさん、お茶屋さん、さといも野郎さん、かずのこさん、空兵-Sさん、タイドマンさん、SILENTさん、八丁堀さん、水郷楽人さん、ハイマンさん、こんばんは。
ご訪問と、niceありがとうございます。

⇒HALさん
ここら辺も色々な歴史があって、歩いてみるとたのしいですね。
万世橋駅と御茶ノ水駅の間にもう一つ実は駅があったなんてことも調べてみると楽しいものです。

⇒qoo2qooさん
そうですね。資料が無くてわからないことのほうがひょっとすると多いかもしれません。

⇒nexus6さん
ありがとうございます。
私も古い車輌はだいすきです。

⇒BPノスタルジックカーショーさん
ありがとうございます。
一日何もしない休養日がありましたから、色々調べられました。

⇒emu310さん
ありがとうございます。
私も子供の頃からこの交通博物館は、数限りなく行った思い出があります。

⇒sakさん
そうですね、裏側に隠された歴史を知ると、また見方が変わったりするもので、それもたのしいですね。

⇒お茶屋さん
ありがとうございます。今しばらく東京駅の話題で行きたいと思います(^^)

⇒さといも野郎さん
実は、法律上「休止扱い」というのは駅だけでなく、路線なんかにもあります。
たとえばJR奥多摩駅から、小郷地ダムまで、廃線跡が続いていますが、その線路も法律上は休止路線です。

⇒かずのこさん
そうですね、私も万世橋の交通博物館が懐かしく持つといっとけば良かったと思っています。

⇒空兵-Sさん
そうですね、今は往時の面影もありませんね。
by 駅員3 (2009-10-14 00:03) 

kiyotime

銀座線の万世橋駅なんてあったんですね、、
今や大深度を走る地下鉄には神田川など
障害にはなりませんもんね、、
by kiyotime (2009-10-14 21:24) 

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