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東京の坂と橋 番外編19・・・松竹橋とキネマの天地~蒲田行進曲~ [東京の坂と橋]

蒲田界隈.jpg

今日は5月26日に取り上げた『夫婦橋』、『あやめ橋』の続きをお伝えしたい。?
周辺には、色々面白いスポットがある。

大田区のホームページによると、蒲田周辺には「日本船舶用ディーゼル機関発祥の地」なるものまである。
これは、1921年(大正10年)新潟鉄工所蒲田工場が開設され、漁船用のディーゼルエンジンを日本で初めて造り始めたことで、記念碑を設けたそうだ。
ディーゼル機関というと、「機関車かな?」とも思ったが、船舶用のエンジンの方が早かったようである。
大変興味はあったのだが、ここに行く時間がなく、もし訪れる機会があれば、改めてアップしたい。

さて、『蒲田』といえば、『蒲田行進曲』、『キネマの天地』を思い浮かべる方は少なくないだろう。
まずは、松竹蒲田撮影所跡からご紹介しよう。

【松竹蒲田撮影所】
かつて、松竹キネマ蒲田撮影所がここ蒲田駅東口の現在はアロマスクエアと呼ばれるこの地にあった。
その正門の前を流れていた逆川には、『松竹橋』が架かっていた。

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1936年(昭和11年)に町工場の多い蒲田では、「工場の騒音が映画撮影に影響を及ぼす」との理由から大船に移転する。
この写真に写っている親柱は、その後戦後の混乱のなか所在不明となった。

JR蒲田駅の京浜東北線のホームの電車発車音は、『蒲田行進曲』である。
1929年(昭和4年)のバージョンでお楽しみいただきたい。

蒲田行進曲 川崎豊・曾我直子 伴奏:松竹ジャズバンド

蒲田行進曲は、松竹キネマ(現・松竹株式会社)蒲田撮影所の所歌である。
原曲はルドルフ・フリムルの1925年のミュージカル「放浪の王者(The vagabond king)」の中の「放浪者の歌(Song of the vagabonds)」である。
その旋律に堀内敬三が歌詞を付けて映画「親父とその子(1929年、監督・五所平之助)」の主題歌として発表された後、1929年(昭和4年)8月、川崎豊と曽我直子のデュエットで、コロムビアからレコードが発売された。

1982年(昭和57年)に、東映出身の深作近二監督が『蒲田行進曲』を発表した。
この映画は、第6回日本アカデミー賞では、最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞・最優秀助演男優賞・最優秀音楽賞と各部門を総嘗めにしたほか、映画界の各賞を多数受賞している。

東映出身の深作欣二監督に松竹の象徴とも言える『蒲田行進曲』の名を冠した映画を撮られたことに憤った松竹出身の野村芳太郎監督が制作指揮をし、山田洋二郎がメガホンを握って1986年(昭和61年)に『キネマの天地』を発表した。?
この『キネマの天地』のエキストラの中には、エドはるみ、出川哲郎らが出演しているのは、知る人ぞ知るである。

このキネマの天地を撮影する際にセットに使った松竹橋の親柱がアロマスクエアの植え込みに据えられ、市民に愛されている。

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このような状況を知った本物の親柱を所有していた方から、寄贈の申し出があり、アロマスクエアーにある市民ホールのロビーに飾られることとなった。

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さて、この地をなぜ『アロマスクエアー』と名づけられたかご存知だろうか。
ここは、松竹キネマの跡地であるとともに、現在東証一部上場の『高砂香料工業』創業の地でもあるのだ。

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1920年(大正9年)、この地に日本初の合成香料製造会社として設立された。

DVC00068.JPG【梅屋敷】
『梅屋敷』は、京浜急行の駅としても知られるが、地名ではない。
大田区蒲田2丁目にある『聖蹟梅屋敷公園』が、その名を留めているのみである。

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江戸時代旅人の道中常備薬としてだれもが持っていたのが『和中散』で、大森蒲田界隈にこの薬を売る3つの店が開業した。

そのうちの一つが、この地に移り、庭園に梅ノ木を集めて休み茶屋を開いた。
その後江戸の梅の名所として有名になり、「梅屋敷」と称されるようになったという。

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明治天皇はこの地を大変好まれ、九度の行幸に及んだため公園の頭に「聖蹟」と冠されている。

梅屋敷は、安藤広重の浮世絵にも描かれている。

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梅屋敷の園内には江戸時代からたくさんの句碑があったのだが、戦後の混乱期に大多数は行方不明になってしまったという。

・・・・つづく


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コメント 12

Yuki

こんばんわ。
梅屋敷っていい名前ですね!
梅が有名なのでしょうが、アジサイが見事に咲いていましたね!^^
by Yuki (2009-05-26 23:53) 

駅員3

Yukiさん、ブラザーボブかきもとさん、吉沢友希さん、xml_xslさん、takemoviesさん、父ちゃんさん、jun-arさん、みかんママさん、いわもっちさん、Krauseさん、やまがたんさん、おはようございます。
ご訪問とniceありがとうございます。

さて父ちゃんさん、「nice」4000番目のポチをしていただいたようで、ありがとうございます。
後刻きり番カードを作成してブログにアップしたいと思います。
お気に召しましたら、お持ち帰りください。

⇒Yukiさん
大変失礼いたしました。
梅の咲く季節に取材したかったですね。
地図を調べたら、奈良県にも『梅屋敷』がありました。
・・・行くにはちょっと遠いかな(^^;


by 駅員3 (2009-05-29 07:37) 

さといも野郎

なるほど、梅屋敷はそういう所以だったんですね。
※雑色の所以もおねがいします、あれも私には謎な地名(^^
by さといも野郎 (2009-05-29 07:39) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

さすがにお詳しいですね。
よくわかりました!!
by BPノスタルジックカーショー (2009-05-29 08:40) 

Yuki

これが、あの日の記事だったんですね!^^
by Yuki (2009-05-29 10:11) 

お茶屋

ものすっごい・・・勉強になっております!
実は自分も色々気になって、図書館に行ったりして
いくつか資料集めたりしております♪
by お茶屋 (2009-05-29 11:43) 

やまがたん

浮世絵、とても素敵ですね^^
ポチポチポチっと応援☆
by やまがたん (2009-05-29 12:50) 

hukayoi

はじめまして。
蒲田には一度チャリで訪れたことがあります、凄く懐かしいです。
製作所の多い糀谷地区だったのを覚えています。
蒲田行進曲のレコードを聴かせて頂きました、大変面白かったです。
昔なので全部左走りの文字と思いしや、一番下のMADE IN JAPANだけが逆なのですね(^^)
by hukayoi (2009-05-29 15:37) 

たく

蒲田行進曲、思わず口ずさみながら拝見しました。(^^)
by たく (2009-05-29 20:35) 

ケイ

京急に梅屋敷駅なんてあるんですね。

僕は今日22歳になりました。

by ケイ (2009-05-29 21:01) 

空兵ーS

「蒲田行進曲」の音源は
SPレコードのようですね。
かなりきれいに再生されていますね。
私が今日UPしたのとは大違いでした。
by 空兵ーS (2009-05-29 21:35) 

駅員3

さといも野郎さん、ナビパさん、genさん、BPノスタルジックカーショーさん、空楽さん、お茶屋さん、hukayoiさん、c_yuhkiさん、リンさん、qoo2qooさん、たくさん、ガンバルおやじさん、ケイさん、空兵-Sさん、cheeさん、花乃子さん、Rangerさん、おはようございます。
ご訪問とniceありがとうございます。

⇒さといも野郎さん
雑色は古代律令制度にに関係してくるようですね。
近くに坂が合ったら、あわせてご報告します。

⇒BPノスタルジックカーショーさん
ありがとうございます。
ついつい謎が謎を呼んで、いろいろ調べてしまうのです。

⇒Yukiさん
ははは、大変失礼いたしました。

⇒お茶屋さん
お茶屋さんの地元のお話なので、なかなかどうして、書くのに緊張しました。

⇒やまがたんさん
いつもお忙しい中ありがとうございます。

⇒hukayoiさん
あ、ホントだ!
そこまで気がつきませんでした(^^;

⇒たくさん
ノリの良い曲ですよね。
私もこのブログを書きながら口ずさんでいました。

⇒ケイさん
お誕生日おめでとうございます。
東京のほかにも奈良県にあるようですね。

⇒空兵-Sさん
いやいや、空兵-SさんのアップしたSPレコードもなかなかでしたよ。
by 駅員3 (2009-06-01 07:30) 

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