異次元への入口のような『ねじりまんぽ』その1 [煉瓦研究ネットワーク東京]
さてさて4か月も前のお話しの続きです。
前回は、泉佐野市で講演をした後、熊取町煉瓦館を訪れて、子供の顔のようなランカシャーボイラーと出会ったところまでをアップしましたが、そののちhatumiさんの案内で泉佐野の素敵な街並みを探訪した後、オフ会へと突入したのでした。
話しは一気に翌日へと飛びますが、その前にねじりまんぽについて少し書いてみたいと思います。
「まんぽ」とは小規模な隧道のことを意味しますが、「ねじりまんぽ」とは、文字通りその隧道がねじれているように見えることから付いたネーミングです。
ねじりまんぽ(斜拱渠)の実物を初めて見たのは、ちょうど一年前の大阪オフ会に続く京都オフ会の折、南禅寺のインクラインの下を通る隧道でした。
次の写真は、その時のものです。
タイムトンネルのような錯覚さえ起こさせる不思議な空間の面白さに憑りつかれてしまったことは、言うまでもありません。千と千尋に登場する親子もこのようなねじれた空間を通り抜けて、異次元の世界に彷徨いこんだのでしょうか。
さて、現存するねじりまんぽ(斜拱渠)は、西日本に多く存在し、東日本には非常に少ない(碓氷峠に2か所ある他、分布の北限は新津に一か所あることが判っています。もしこれ以外に東日本でねじりまんぽの存在をご存じの方は、ぜひともご教授ください。)ことから、なかなか目にする機会がなく、半年ほどその存在を忘れかけていたときに、煉瓦研究会の例会が行われ、再びねじりまんぽと出会うこととなりました。
今年の5月のある日、東京で一番古い煉瓦建物と言われる上野の東京芸大一号館をお借りして、鉄道の煉瓦構造物研究の第一人者の小野田先生をお招きし、今までの研究成果の内容をうかがっていた中で、ねじりまんぽ(斜拱渠)の説明がありました。
一般的に線路の下に隧道(トンネル)やカルバート(水路)を穿つときは、線路と直交させることが一番強度的に強いと誰もが思われることと思います。
ところが地形であるとか、周辺の開発の事情により、必ずしも線路と隧道やカルバートを直交させることが出来ない場合に、線路に対して斜めに穿つことになります。
穿った空間を補強するために煉瓦を積む際、強度を考えて線路に対して煉瓦が直角になるように積んでいくと、自然と渦巻が出来るということをきちんと理解できたのは、7月に再び大阪の地を訪れて、再び実物を目にしたときでした。
斜めに穿った隧道やカルバートの強度を増すために、渦巻状に煉瓦が積まれたのではなく、斜めの隧道の中で線路に直交するようにアーチ部分の煉瓦を積んだ結果、渦巻が出来たと考えると判りやすいのではないでしょうか。
ここで二つの図を書いてみました。
まずは平面図・・・上方から見下ろした図をご覧ください。
線路に対して煉瓦が直交するように積まれている様子がお分かり頂けると思います。
次に側面図をご覧ください。
直行するように並べられた煉瓦がアーチ状に積まれて側面に降りてくると、このようになります。
ここまで来ると皆さんぴんと来ましたね。鉄道と隧道やカルバートが交差する角度によって、ねじれ方も変わってくるということです。
交差する角度(斜架角)をθ、隧道の中の渦巻の立ち上がりの角度(起拱角)をβとすると、次の公式が成り立ちます。
tanβ=2/(π tanθ)
さあ、ここまでくると、実物の角度を測ってみたくなるのは人間の性(・・・えっ、違うって? そう思うのは僕とちょいさんくらい???)でしょうか?
5月の研究例会の時点で、7月には関西での講演が2本決まっていたので、早速実地調査の場所や日程などを調整し、次のような強行スケジュールとなりました。
7月10日金曜日 午後 加古川で講演
夕刻 桜ノ宮で煉瓦造の橋台他を調査
7月11日土曜日 午前 泉佐野市で講演
午後 泉佐野市熊取の煉瓦館訪問
夕刻 オフ会
7月12日日曜日 早朝 高槻~茨木の東海道本線に残る煉瓦構造物(ねじりまんぽ(斜拱渠)を含む)
午前~ 琵琶湖疏水踏破
とまあ、こんな流れの3日間となったのでした。
さあて、次回はいよいよねじりまんぽ(斜拱渠)の実物とご対面です。
しかもその『ねじりまんぽ』がとても凝った造りだったのは、次回のお楽しみ(^_-)/
おはようございます。
iPhoneの電卓・・・・横にすると関数電卓になる事、最近気が付きました。
by YUTAじい (2015-11-21 06:26)
おはようございます。色んな法則があるんですね。煉瓦の公式は初めて知りました。^^;
by ソニックマイヅル (2015-11-21 06:55)
式を簡略化するため45°で計算しちゃいました^^;(tan45=1)
by kinkin (2015-11-21 07:13)
ねじりマンボ工法ですか。確か三岐鉄道北勢線の橋にも施工されていると思いました。珍しいですね。
by 水郷楽人 (2015-11-21 07:31)
煉瓦でトンネルができるのは不思議さを感じます。
煉瓦に染まってきた・・・(^_^;)
by green_blue_sky (2015-11-21 08:04)
おぉ、公式があるのですねっ゚д゚)
画像を見ると、長手積みなので煉瓦がいくつ使われているのか、
これで計算もできるという感じなのでしょうか。
長さと側面の角度が別れば、
交差の角度も分かりそうで面白いです^^
by ワンモア (2015-11-21 09:44)
"ß"は得意ですが、”β”は苦手です^^笑
蹴上のねじりまんぽ。壁面に垂直な位置から撮った写真があります。
角度を図ると上の式に当てはめられるのですね。...なんで算数苦手になったのでしょう..(^^;;
by orange (2015-11-21 09:45)
さっぱり判りません(笑)
by ma2ma2 (2015-11-21 09:56)
おはようございます^^
この記事を京都に行く前に見たかったわ。
インクラインの下まで見なかったです(><;
あー勿体なかった・・・ぁ
by mimimomo (2015-11-21 10:09)
ねじりまんぽ、写真で見るだけでもクラクラしてきます
実際に中に入ったら・・・・時空を超えた気分になれそう^^
by さる1号 (2015-11-21 10:47)
泉佐野オフ会から4か月
月日が経つのは早いですね
高槻~茨木のねじりまんぽ・・・
地元なので知らずに通っているかも^^;
by raomelon (2015-11-21 11:48)
昔の人の知恵というのは偉大ですね。
by gen (2015-11-21 13:34)
なるほど・・・以前の私の記事のコメントに交差角がって書かれていたのが理解できました。
いつか地元の大阪狭山市にもおいでください。
ねじりまんぼ、案内しますよ(^^)
by ひろし (2015-11-21 13:35)
ねじりまんぽって、面白い名前だね。
不思議な空間て言う意味なんだね。
確かに写真の隧道は不思議な空間だね。
by Aちゃん (2015-11-21 14:38)
不思議な空間ですね~(;゚Д゚)
実際歩いたらクラクラしちゃいそう・・・(^^;)
by さくら君 (2015-11-21 16:40)
私たちのところには小さな隧道があって
子供の頃、マンポと呼んでました。
てっきり方言と思っていたのですが・・・
記事のねじりまんぼが泉佐野市なので
関西弁なのかもしれませんね。
by そらへい (2015-11-21 17:45)
ねじりまんぽって、昔どこかで聞いたような無いような。。
θとβ、もう計算できない。。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2015-11-21 18:06)
不思議な気分になりますね、ねじりまんぽ。
薄暗い時間にロウソクの灯のゆらめきで
見たならばもっと異次元に行けそうな気がします。
しっかし。。途中から数学の教科書でも
見ているかのような錯覚を覚えました(笑
by 昆野誠吾 (2015-11-21 18:06)
インクラインの隧道、何度も通りながら気が付きませんでした
今度はゆっくり観察したいと思っています
by koh925 (2015-11-21 19:34)
こんばんは、永源寺にコメント有難うございました。
レンガの積み方には、色々な工法が有るんですね。
「ねじりまんぽ」初めて知りました。
次のレポートが楽しみです(^^)v
by tarou (2015-11-21 21:57)
ねじりまんぽ、初めて聞きました。
いろいろ勉強になりますね。
by まるたろう (2015-11-21 22:52)
なるほどねじれに法則があるんですね
よく考えられた工法とは凄いです。
by いそいそ (2015-11-21 23:10)
しまった。数値出されると学が無い自分には厳しいかもですよ教授w
とはいえねじりまんぽの俯瞰的なものは凄く分かりましたし、改めて勉強になりました(*´д`*)
煉瓦の積み方でこんなに面白いのは中々ないですよね!
by ちょいのり (2015-11-22 01:33)
おはようございます
ご一緒させてただいたのを懐かしく思いだします。(^_^)ニコニコ
by すー (2015-11-22 04:46)
ねじりまんぼという言葉、初めて聞きやした。
最初、アンティークテーブルのねじりんぼうの変わり種かと思いやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2015-11-22 13:57)
煉瓦って圧縮に強い素地でしたっけ?
周りは金属ばかりなもので・・・・・(-。-;
谷保天は私は今年も第3会場だそうです。
by caterham_7 (2015-11-22 16:40)
ねじりまんぽ、勉強になりました!
by seawind335 (2015-11-22 17:05)
図解で見るとよく分かりますね♪
実は大津と山科の間に、国道1号線に転用された旧線の築堤に開いた暗渠(今は使われていません)の内部は見事な煉瓦積みの「ねじりまんぽ」なんだそうです。おそらく明治期に造られたもの。
場所が特定できてませんが、一度見に行ってみたいと思ってます。(^_-)v
by 路渡カッパ (2015-11-22 17:11)
出ると別世界かも…
お元気で何より。
by 夏炉冬扇 (2015-11-22 18:42)
ねじりまんぽではないですが、上野原にも線路下を抜ける
煉瓦通路があったので、今度写真撮っておきたいと思います。
by しおつ (2015-11-22 20:44)
ねじりまんぽとは面白い造りですね~!
お写真からもその特徴的な様子がすごくよくわかります。
なんだかこんなトンネルをくぐると、
まるで異次元の世界にでも繋がっているような錯覚を
受けますね(^^)
by あおたけ (2015-11-23 11:50)
言われてみれば確かにですが、公式に基づいて設計されているとは思いませんでした(^^;
by さといも野郎 (2015-11-23 18:12)
こんばんは。
うっ物理・数学・・・・グリコです。(お手上げ)
by 天神堂牛笛 (2015-11-23 21:44)
おはようございます。
手順書では・・・船体艤装が嵌め込まれててますが、マスト・ヤードに集中してます。
by YUTAじい (2015-11-24 07:48)
ごめんなさい、???です。
碓氷峠はもしかしたら歩いたかも。
by コンブ (2015-11-24 08:34)
タイムトンネルのような幻想的な風景ですね。不思議な感じです。
by ciel-bleu-fonce (2015-11-24 08:36)
ねじりまんぽ??面白いお話ですね
てか、tan久し振りに見ました
嫌いだったなぁ~このての記号・・・
by くまら (2015-11-24 11:33)
こんばんは
おや? なんで? という景色も
ちゃんと意味があるんですね!
スッキリです^^
by gardenwalker (2015-11-24 23:15)
お早うございます、玄宮園にコメントを有難うございました。
庭園から彦根城が見えて、とても良い所です。
今年の紅葉は、後半に暖かい日が続き遅れているようです。
11月前半に箱根に行って来ましたが、見ごろには少し
早い感じがしていました。
by tarou (2015-11-25 06:32)
懐かしい南禅寺散策疎水の所で分かれてしまいましたがこのトンネルは丁度ピストルの螺旋のような感じでしたね。
by 馬爺 (2015-11-25 12:56)
美しいのみならず強度も増すのでしたか。
先人の知恵が本当に素晴らしいですね。
by ナツパパ (2015-11-25 13:38)
ご多忙の折、拙ブログへのコメントありがとうございます。
「ねじりまんぼ」はデザイン(見た目)かと思っていましたが、
強度なんですね。図解で良く理解できました(-_-)ウーム
次回の記事、楽しみに待っています。
by johncomeback (2015-11-25 15:45)
>ストームトルーパー☆
ZOZOTOWNで買物をしたら この段ボール箱で届きました
箱が白色なのでストームトルーパーだけだと思います
ダースベーダーもあれば良いのに
商品によっては宅配のお兄さんが
ストームトルーパーの格好で届けてくれる場合もあるようです
by タイド☆マン (2015-11-25 19:54)
数学の知識が、このようなところで役に立つとは!
数学はからきしダメでしたが^^;。
それにしても「ねじりまんぽ」って、ユニークな語感ですねぇ^^;。
by sakamono (2015-11-25 21:15)
1月に泉佐野へ?
待ってるよ〜〜♪^^
by hatumi30331 (2015-11-26 08:18)
おはようございます。
休みとロケーション中々合致しませんね!
by YUTAじい (2015-11-26 08:30)
こんにちは
私には難しい~です^^;
by 美美 (2015-11-26 15:19)
今晩は~ 訪問・nice!&コメント有難う御座います。
先人達の知恵って・凄い物が・・・素晴らしい構造物ですよね!!。
by okin-02 (2015-11-26 17:48)
タイムトンネルみたいっすね^^。
by DEBDYLAN (2015-11-26 23:22)
計算と設計は、昔より効率よく出来るかもしれませんが、
職人がいないから(途絶えた技術かも?)、もう出来ないねじりまんぽ・・・
後世に伝えたい技術遺産ですねぇ(-。-)
by me-co (2015-11-27 01:01)
お早うございます、長安寺(前編)にコメントを有難うございました。
伊豆に行かれるなら、修善寺の紅葉も良いかも知れませんね(^O^)
私も時間が取れたら行って見ようと思ってます。
by tarou (2015-11-27 05:41)
おはようございます。
手を出そうか迷いましたが・・・収納考え断念しました。
by YUTAじい (2015-11-27 07:58)
レンガを使った建築とか、石を使った建築とかって、
ローマ時代頃からの技術が残っているのでしょうね。
by Loby (2015-11-27 09:40)
コメント有り難うございます。歩く事を楽しんでいた私に突然の試練…歩く事に恐怖を覚えます。今日のお出掛けはバスに乗ることにしました〜恐い!氷の道。。。
by 沈丁花 (2015-11-28 04:09)
hatumiさんに買ってもらった分度器が役立ちましたか?
私は、駅員3さんが訪れた翌日にインクラインへ行って、犬釘を見てきました(^_^)v
by 風来鶏 (2015-11-28 16:13)
おはようございます。
お祝いコメントありがとうございます。
by YUTAじい (2015-11-29 09:32)
煉瓦強度なるほどでした。
谷保天は今年も第3会場になりました。
今年もスタッフ業務でお忙しいのかしら?
by caterham_7 (2015-11-29 13:46)
M38君の写真は下を少し切れば絵になるかも?
新しいプリンターで焼いて
持っていきますね!?
誘導よろしくお願いします_(._.)_
by caterham_7 (2015-11-29 22:08)
なるほど、大変、勉強になりました。
煉瓦は、崩れやすいですので、色々工夫をされているんですね。
その結果、渦巻き状に見えるというのが、面白い。
by テリー (2015-11-30 10:57)
ほんとですね。ねじれて見えますね。
工夫があるのですね~
私はまだ角度をはかってみたいと思えるレベルではないですね~(笑)
by isoshijimi (2015-12-01 08:11)
不思議な空間ですね(^-^)
by ねじまき鳥 (2015-12-01 08:17)
すみません こちらに書かせて頂きます
タミヤの箱にタミヤ本社の住所の記載があります
今現在は「静岡市 駿河区 恩田原」 ですが
町名が「静岡市 小鹿」 のモノはマニアさん方に
人気があるそうでヤフオクで高い値段がつくことがあるそうです
by タイド☆マン (2015-12-01 20:05)
>タミヤ
年代によっては 1つの箱に 4種類の住所を記載したモノもあるそうですよ
by タイド☆マン (2015-12-01 20:51)
おはようございます。
拡張余地無く・・・処分迫られそうです(笑)。
by YUTAじい (2015-12-02 07:52)
おはようございます。
お出で頂きましてありがとうございます、お伊勢さんはやはりいい所ですね、でも混んでいるのが嫌ですね、ここでもなぜかC国の方が大きな声で話しながら境内を歩いて居ました。
by 馬爺 (2015-12-02 08:49)
蓮根スライスの素揚げをカレーにトッピング!トップス等で良く出されますね
私も好きですが、自宅では中々・・・(>_<)
時間に余裕のある時やってみます♪
by viviane (2015-12-02 09:36)
角度を計らないかもしれませんが
ねじれまんぽは歩いてみたいですね。
東日本には少ないとのことですが
近くにあると嬉しいです。^^;
by ナビパ (2015-12-02 17:38)
難しいですがなんしかとっても計算されて作られてるって事ですかね。
by みぃにゃん (2015-12-03 18:22)