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東京の坂と橋 番外編120 滑川町の石仏2 [東京の坂と橋]

ご紹介している石仏群の周りは豊かな田んぼで、黄金色に実った稲の穂は重く頭をたれていて、M38君で走り抜けると、実りの稲の香りがしてくる。

これはJeepだからこそ味わえる豊かさだ。
他の車では窓を開けて走ったところで味わえない幸せである。

14M38.jpg

さて、昨日の記事で全部の石仏をご紹介しなかったのは、もう少し調べる時間が欲しかったからであるが、一日でたいした進展は無かった。

これで「もう少し時間をかけよう」と先送りすると、過去に山のようなボツネタ・・・書けずにいるもの・・・と同じ道を歩んでしまうことと思われるので、分からないなりにアップしたい。

0全体.jpg

まず最初に全体写真の左から4番目の馬頭観音は、取り立てて珍しいものではない。

9馬頭観音.jpg

表面に1798年(寛政10年) 馬頭観世音 比企郡山田村 と印されている。

次に先日アップした如意輪観音像である。
(次の写真は、先日アップしたものとは別の写真である。)

11滑川町如意輪観音.jpg

ここでご注目いただきたいのは、台座に刻まれた『一十二夜待 奉造立如意輪観音』とある文字だ。

『夜待』とあるのは、江戸時代中期以降に女人講として広く民間に広まった月待信仰によるものである。
集まる月齢に応じて『十五夜待』や『二十三夜待』などが有名である。

月待信仰は、如意輪観音像や、二十三夜待と文字の彫られた石仏に集まり、月の出るまで勤行をしたり食事をしたりする。
特に如意輪観音は、富を施し六道に迷う人々を救い、願いを成就させる観音様として、江戸時代中期以降民間信仰に広く取り入れられた観音様だ。

ここで『一十二夜』というのが私は聞いたことが無い。
そこで色々調べてみると、埼玉県北西部から群馬県中西部にかけて、広く『二十二夜塔』が分布しているとの記述を見つけた。(⇒熊谷市web博物館)

また、月待行事で多い月齢は、十五夜、十六夜、十九夜、二十二夜、二十三夜が多いことが分かった。
また横に彫られている建立月は『一十二月』ではなく『十二月』となっている。
以上に鑑み、字の彫られている位置からも頭の『二』の上部の横一文字がかけて『一』に見えているのであって、これは『二十二夜塔』と見るべきだろう。

13滑川町如意輪観音.jpg14滑川町如意輪観音.jpg

台座の右側面には、「比企郡山田村中郷』と彫られている。
左側面には明和元年(1764年)十二月吉日 蒔谷根● 講中山王女中不残と印されている。

江戸時代二十二夜に村の女性が集まり、勤行をしたり食事をしたりして月の出るのを待ったのだろう。
月を拝むことによって悪霊を追い払い、病気や不幸の退散と、家族の健康と幸せを祈ったことだろう。

次回は地蔵菩薩立像をご紹介したい。

                                                         ・・・続く


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コメント 26

銀狼

やはりM38クンには
自然の風景がお似合いですねぇ!^^
by 銀狼 (2012-09-04 00:55) 

すー

おはようございます

>過去に山のようなボツネタ・
そうなんですよね。それにしてもこうしたことを調べるのはたいへんでしょうね。
by すー (2012-09-04 04:17) 

沈丁花

興味のあるお話にいっとき夢中に〜・・・
昔々の亡き祖父の話が蘇りました〜〜(朧気)
by 沈丁花 (2012-09-04 04:56) 

てんてん

1枚目の写真 自然の中のM38君キマッてますね~♪
by てんてん (2012-09-04 05:32) 

ryuyokaonhachioj

一枚目のM38は、雰囲気が出てますね。
チョウは葉の陰に雨をしのいでた、ところ
に音を感じ飛び出たとこを撮れたんです。
by ryuyokaonhachioj (2012-09-04 06:07) 

JUN

うんうん、緑の中のMクン映えますね。
by JUN (2012-09-04 06:21) 

rtfk

お早う御座います^^)
M38と緑が映えますね!
これからオープンエアの季節ですね~(^m^)

by rtfk (2012-09-04 06:47) 

下総弾正くま

二十三夜塔はこちらでも見たことが(・_・;)
如意輪観音が夜待と関連があるとは知りませんでしたΣ(゜Д゜;
by 下総弾正くま (2012-09-04 07:24) 

YUTAじい

おはようございます。
奥深く探求すると別ブログが必要に、次男が細かい作業しないでと「銀河英雄伝説」を渡されましたが・・・文庫本サイスなので活字の小さい事。(笑)
by YUTAじい (2012-09-04 07:56) 

くまら

月待信仰って言葉すら知らなかったです。
勉強になりました
by くまら (2012-09-04 08:35) 

馬爺

このように文献を調べたりすると意外な事実が分かるんですね。
by 馬爺 (2012-09-04 09:24) 

ソニックマイヅル

私もM38さんに乗って滑走してみたいです。^^;
by ソニックマイヅル (2012-09-04 10:58) 

koume

緑とM38さん、似合いますね^^
かっこいいです♪
by koume (2012-09-04 13:55) 

hatumi30331

いつもカッコイイですよね!
このM38さん・・・実物を見てみたいです!^^

文献を調べて歴史をたどるのは・・・楽しいですね。
発見がありますから!^^
by hatumi30331 (2012-09-04 14:13) 

(。・_・。)2k

M38くんカッコイイですね
やっぱり自然の中が似合います(^^)

by (。・_・。)2k (2012-09-04 16:56) 

haku

こういう緑豊かな自然の中をJeepで走る!
最高の贅沢な時間でしょうねぇ♪
by haku (2012-09-04 18:25) 

夏炉冬扇

今晩は。
私の田舎「畦町宿」は寛政19年にできました。
by 夏炉冬扇 (2012-09-04 19:38) 

ドラもん

こんばんは。
上京は横浜にある両親のお墓参りと、野球ナイター観戦でした。翌日ナイアガラに寄らせてもらおうと思っていましたが、駅員3様は静養されるとの記事を読み、そのまま松本安曇野へ帰宅しました。
ご連絡が遅くなり、申し訳ありませんでした。
by ドラもん (2012-09-04 20:51) 

gen

『一十二』って数字は使わないし文字間からして二の上の棒が消えちゃったみたいですね。
by gen (2012-09-04 20:55) 

ナビパ

稲穂の香り良いですね。
新米が楽しみです。
by ナビパ (2012-09-04 21:03) 

mk_papanero

へぇ~月の行事ってそんなにあったんですね。
勉強になりました。あとで誰かに教えたろ~っと。
by mk_papanero (2012-09-04 21:48) 

美美

女性だけで集まって井戸端会議?
いや、お月見を兼ねた宴会をする日だったのですね。
もしかして愚痴をこぼすこともあったり^^
by 美美 (2012-09-04 21:49) 

ニッキー

M38君、自然に溶け込んでカッコイイですねぇ^m^
by ニッキー (2012-09-04 22:29) 

しおつ

長い時代を生き抜いてきた石仏。
眺めてきた人にもいろいろな思いがあったんだろうなあ。
by しおつ (2012-09-04 22:53) 

schnitzer

1枚目の写真、このような風景にM38がマッチしてますね。
格好良いです!
by schnitzer (2012-09-04 23:40) 

風来鶏

数年前に廃止してしまいましたが、隣組内で「庚申さん」が2ヶ月に1回(十二支×陰陽五行の組み合わせで60日ですね!!)が行われていました。
また女性達は“おひまち”と称して、年に数回食事会(女子会ですね)を催していました。
そう言った風習が無くなっていくのは、時代の流れでしょうか?!
by 風来鶏 (2012-09-05 10:07) 

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