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東京の坂と橋 四方山話27 茗荷谷坂にある『縛られ地蔵』2 [東京の坂と橋]

江戸時代寺社奉行は、江戸庶民の不満の芽を摘むために、江戸市中の三箇所に縛られ地蔵を作ったという。
お地蔵様を縛らせて、庶民の不満を解消させたのだろうか。

色々調べたのだが、南蔵院の縛られ地蔵と林泉寺の縛られ地蔵有名だか、もう一つがどこかわからない。
判明したら、改めてお知らせしよう。

さて、『縛られ地蔵』と『茗荷谷』の茗荷をネタに近くの小学校の先生が昔話風の紙芝居を作ったという。
その話をご紹介しよう。

お地蔵様2.jpgむかし、このあたりの小さないえに、せん太とおじいさんが、二人っきりで、すんていました。
せん太のおとうさんとおかあさんは、二人ともびょうきにかかって、なくなってしまったのです。
そこで、おじいさんは、いっしょうめんめいはたらいて、せん太をそだてました。
二人はまずしかったのですが、しあわせにくらしていました。

ある日のこと、しごとからかえってきたおじいさんは、げんきがありません。
「あ、おじいさん、どうしたの。とてもくるしそうだ。だいじょうぶ?」
「きょうはいそがしくてね。とてもつかれてしまったよ。でもしんぱいしなくてもいいんだよ。」
「おじいさん、からだがあつい。ねつがあるよ。早くねて。」

「はあはあいって、いきがくるしそうだ。としをとっているから、しごとがたいへんなんだね。」
「おじいさん、早くなおって。」
「からだがだんだんあつくなってくる。
どうしよう。そうだ。つめたい水をくんできて、ひやしてあげなくちゃ」

そこでせん太は、さかみちをどんどんおりて、いしだんをかけおりて、がけ下の川までおりてきました。
川にはつめたい水がさらさらとながれていました。
「この水でひやしてあげよう。」
せん太はもってきた手おけに、水をくみあげました。
小さいせん太には、水を入れた二つの手おけは、とてもおもたかったのです。
でも、こぼれないように、石だんやがけをあがっていきました。

「おじいさん、つめたい水をくんできたから、ひやしてあげるよ。」
せん太は、つめたい水でしぼった手ぬぐいを、なんどもかえてあげました。
そして、水がぬるくなると、また川まで行って水をくんできました。
けれども、おじいさんのびょうきはなおりません。
「おじいさんに、えいようのあるとうふや、ねつさましのくすりを、かってあげたい。
でもおかねがないんだ。どうすればいいだろう。」

しんぱいしたり、いろいろとかんがえたりしているうちに、つかれていたせん太は、うとうととねむってしまいました。
そして、ゆめを見たのです。

お地蔵様.jpgゆめの中にあらわれたのは、お地蔵さまでした。
「せん太よ。おまえはほんとうに心のやさしい子だね。お地蔵様がよいことをおしえてあげよう。
このたにをおりきったところに茗荷の芽がはえているのじゃ。それをたくさんふやしてうるがよい。
そのおかねで、くすりやとうふをかうのじゃ。さあ、せん太よ。
茗荷をおさがし。見つけたらこのわたしをしばるがよい。
おまえのねがいはかならずかなうだろう。」

「あ、おじぞうさま。」
と、せん太がさけんだときには、もうそのおすがたは、そこにはありませんでした。

そこでせん太は、さっそく茗荷さがしに出かけました。
「たにを、どんどんおりるんだなあ。」
「ここかな。あっちかな。ないなあ。」
「あったあ、見つけたぞ。お地蔵さまの茗荷だ。」
「お地蔵さまのいったとおりだ。」

「早く、お地蔵さまにおみせしなくては。」
せん太は、さかのとちゅうにあるお寺をめざしてはしりました。

お寺の木の下には、ゆめに出てきたお地蔵様が、しずかに立っておいでになりました。
せん太はおもわず手をあわせてしまいました。
「せん太よ。茗荷が見つかってよかったね。
さあ、わたしをしばりなさい。そしてこれからも、おじいさんをたいせつにしてかんびょうをつづけなさい。
茗荷には、きれいな水をかけておあげ。」
ゆめの中できいたお地蔵さまの声とおなじでした。

「お地蔵さま。ありがとうございます。
でも、お地蔵さまをしばるなんて、どうしてもできません。」
「せん太よ。わたしにはしばった人のくるしみが、なわやひもをとおしてわかるのだよ。
ねがいがかなったら、しばったひもをとりにきておくれ。
さあ、しばりなさい。」

「お地蔵さま、すみません。それではもったいないけれどしばらせていただきます。」
せん太は、ひもでお地蔵さまをそっとしばりました。

「おじいさんのびょうきが一日も早くなおりますように。そしてげんきになりますように。」

それから、せん太は子どもながら茗荷がうれるように、いっしょうけんめいはたらきました。
おじいさんのびょうきがなおるように、やさしくかんびょうもつづけました。
やがて、くすりやとうふがかえるようになって、おじいさんのびょうきは、よくなっていきました。
せん太がしばったお地蔵さまのひもをとく日もちかいことでしょう。

入り口地蔵.jpg


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コメント 14

くまら

そんなお話が有るんですね
by くまら (2010-07-27 23:07) 

gardenwalker

茗荷谷は本当に谷なんですよね~
フランダースの犬のような心暖まる話ですね
ありがとうございました!
by gardenwalker (2010-07-27 23:11) 

manamana

心優しい人が、苦労してもハッピーエンド、
いいお話しですね。
by manamana (2010-07-27 23:49) 

perseus

こんばんは。
奥が深い話が背景があったのですね。
by perseus (2010-07-28 01:52) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

そんなお話があったんですね。
ハッピーエンドでハッピーです。
by BPノスタルジックカーショー (2010-07-28 04:39) 

suzuran6

ぱちぱちぱち‥(拍手のつもり)
茗荷谷ってやはり「みょうが」採れたんですね。
by suzuran6 (2010-07-28 11:12) 

koh925

いい話ですね
児童教育の現場を預かる先生たち、すべてが
この先生のようであれば良いのですが
私の二男(もうじき40歳)の、小学校3~4年頃の
担任は、中年の女性でしたが、
他の学校の校門で赤旗を振っていたそうです、
妻が目撃しています、教育現場の荒廃は酷いものです
民主党議員の中にも、このような事をして来た人が
多いでしょう!!
by koh925 (2010-07-28 13:19) 

空兵

お地蔵さんには、いろいろな昔話がありますね。
私達の所にも、「身代わり地蔵」というのがあって
名前にまつわる昔話があります。
by 空兵 (2010-07-28 20:06) 

たく

ちょっと可哀そうに見えますが・・・・(^^;
by たく (2010-07-28 20:18) 

sak

素敵なお話ですね
今縛られている縄...
早くみんなの願いがかなって
とれる日がくるといいなぁ
by sak (2010-07-28 21:48) 

youzi

縛られ地蔵、聞いた事がありますが、
お話があった事は知りませんでした。
茗荷谷だったら、行けそうなので
実際に見に行ってみたいって思いますね。
by youzi (2010-07-31 23:30) 

kiyotime

この辺はよく行くのに、話も地蔵も聞いたことがありませんね、、

by kiyotime (2010-08-10 23:14) 

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