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東京の坂と橋 87・・・東海橋と品川神社 [東京の坂と橋]

名前ふりがな別名所在地北緯東経全長
東海橋とうかいぱし品川区北品川~南品川北緯35度36分58秒東経139度44分28秒40m

東海橋.jpg

《東海橋》
品川から第一京浜(国道15号)を下ると、北品川2丁目交差点で山手通りと出会う。
山手通りは、この交差点から東進すると、『海岸通り』と名を変える。

この交差点を過ぎると、第一京浜は目黒川を越える。
この目黒川に架かる橋が、『東海橋』だ。

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橋はカラフルに塗られ、欄干の上には鳳凰がとまっている。

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この橋は、とてもレトロな感じがするが、実は比較的新しく平成9年の竣工だ。

昔の東海道をほぼトレースしているのは、もちろん国道1号であるが、東京⇔横浜間は国道15号=第一京浜だ。
何故、東京⇔横浜間の東海道が国道15号なのかは、以下のリンクの「東京の坂と橋31~33」をご覧いただきたい。
⇒東京の坂と橋 31、32、33 はこちらをクリックしてください。
実は当初はこの第一京浜国道(愛称:イチコク)が国道1号だったのである。
1952年(昭和27年)に、新道路法に基づく路線指定を行う際に、1934年(昭和9年)に作られた第二京浜国道(愛称:ニコク)が『国道1号』となり、第一京浜国道は『国道15号』となったのだ。

さて、橋の名前の由来を調べたものの、わからなかった。
目黒川にかかる東海道の橋だから『東海橋』と名づけられたのだろうか。
明治時代には、この近辺に『東海小学校』もあったようだ。

DVC00095.JPG目黒川は、二級河川で新宿区三宿の東仲橋で北沢川と烏山川が合流する地点が起点となる。
以前この目黒川に架かる橋の一つ『居木橋』について取り上げている。
⇒東京の坂と橋 35、36 御殿山坂、居木橋はこちらをクリックしてください。
このまま下ると現在では天王洲アイル駅付近で東京湾に注ぐ。
現在目黒川の流れる水の大部分は、新宿区の東京都下水道局落合水再生センターで下水を高度処理したものが放流されたものだ。

東京湾の開発が進むまでは、この目黒川は河口付近で流れが湾曲していて、流れが穏やかだったことから天然の港としても利用されていた。
上記リンクのブログでも説明したが、港のあるところに物流が起こる。
この目黒川は、近世まで水運が盛んであった。目黒川は、品物が行きかう川だから、『品川』とも呼ばれた。
これが、『品川』の地名の由来となった説の一つである。

東海橋の上手には、昔船着場があったが、今は公園になっていて災害時などの非常時には水上輸送の拠点となれるよう、船着場が残されている。

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さらに遡ると、中目黒に目黒川舟入場があって、『川の資料館』などがある。

さて、周辺の地図をご覧いただくと、寺院の多さに目を引かれることだろう。
一つ一つの寺院を取り上げてることは時間的にも難しく今回は、一箇所だけ取り上げたい。
一箇所といっても、三つの神社があつまるところ、品川神社、御岳神社、浅間神社である。

《品川神社 (御岳神社、浅間神社、阿那稲荷)》
まずは、冒頭の地図をご覧いただきたい。
京浜急行新馬場駅の北口駅前の第一京浜側に、ある神社だ。
新馬場駅の由来など以前取り上げたことがあるので、よろしかったら、こちらをご覧いただきたい。
⇒東京の坂と橋 四方山話 裏話5
品川から横浜方面へと京浜急行に乗り、北品川を越えると線路は高架線となる。
ここからしばらく第一京浜と併走するように京浜急行は走るのだが、進行方向右手(西側)の景色を眺めていると、新馬場駅手前の第三京浜の向こう側に小高い山が見えてくる。

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この緑多く、小高い山に品川神社がある。

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後鳥羽天皇の御世、1187年(文治3年)に、源頼朝が海上交通安全と、祈願成就の守護神として、安房国の洲崎明神である、天比理乃命(あめのひりのめのみこと)を勧請して、品川大明神と称したが、その後社名を品川神社と改めた。

徳川家康が関が原に出陣の際参拝し、戦勝祈願をしたことでも知られている。
1637年(寛永14年)には、徳川家光の命により東海寺鎭守と定められてから幕府の御修復所となり、その後数度の再建を経て1868年(明治元年)准勅祭神社に定められた。

准勅祭社とは、1868年(明治元年)10月17日、明治天皇は氷川神社を勅祭社に定め、それに続いて東京近郊の主だった10社を准勅祭社と定めて、東京の鎮護と万民の安泰を祈る神社としたものだ。
その後1870年(明治3年)に准勅祭社制度が廃止され、郷社となった。

ここを訪れると、まずはこの鳥居に圧倒されるだろう。
鳥居は、神社の象徴であり、門の一種として神域と俗域の境界を示すものとされている 。
その語源は「通り入る」、また、鶏の止り木の「鶏居」であるといわれる。
この品川神社の鳥居には『昇龍』と、『降龍』が刻まれている非常に珍しいものだ。

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刻まれた龍は寺院の山門にある仁王像、境内入り口にある獅子、狛犬と同様の役割で、神域を守護するものである。
昇龍・降龍は、「上求菩薩、下化衆生」という仏教の教義を意味するとされる。
上求菩薩とは、悟りを求めて厳しい修行に励むこと、下化衆生とは、慈悲を持って他の衆生に救済の手を差し伸べることを意味し、これら両方を合わせて修得すべきことを求めている。

鳥居の脇には、大黒天様もお出迎えいただいており、東海七福神巡りの出発点ともなっている。

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さて、階段を上り始めると傾斜が急なことから、子供やお年寄りは、恐怖感さえ抱くのではないかと思う程である。

恐怖心を抑えて、下を見ないように登っていくと、階段の中ほどに踊り場があり、左には灯篭と鳥居が見えてくる。
ここが、『富士山』?への登山道だ。
入り口には、ここを訪れたのが6月だったため、「7月5日山開き」と告知してあった。

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そう、ここは富士山信仰に基づいた富士塚があるのであ。
富士塚は、富士山を模して作られた人工の富士山で、遠く富士山から凝灰岩(溶岩)を運んできて積み上げたものと、自然に存在した丘や、古墳などを利用したものがある。 

ここの富士塚は凝灰岩からできており、遠く富士山から運ばれてきたのだろう。
江戸時代になると、民間信仰として富士山講が盛んになる。
そんな中、関東地方を中心に、あちこちに富士塚が作られた。

ここ品川の富士塚は、明治3年に作られたが、大正13年の第一京浜国道開通に伴って、当時の位置から西に数十メートル移動した。

富士山の山開きの日に富士講が富士塚に登山する習慣がある。
基本的に富士塚の上から富士山をのぞむことができるように築造されるが、現在では、ほとんどの富士塚で直接富士山を視認できるものはない。

登山口の祠には、役の行者が祭られている。

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登山道入り口のすぐ上に『一合目』という標識があるが、ここから頂上の手前九合目まで標識は続く。

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そして、頂上を極めると、東に広がる景色は、次のようなものだ。
明治時代は、遠く房総の山並みが遠望できて、さぞかし綺麗だったことだろう。

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ここから、登ってきてのとは、逆方向に下りると、次のようなかわいらしい石碑が帰りを見送ってくれる。

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さて、わき道にそれてしまったが、最初の階段に戻って、上まで上り詰めると、正面には、本殿が見えてくる。

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都心にありながら、緑多くしずかなたたずまいを見せている。

周りを見渡すと、左手には浅間神社が祭られている。
『ぶじかえる』のかえるさんは、ちょうどこの浅間神社の社の裏側にあたる。

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浅間神社は、富士山の神霊である浅間大神を祀ったもので、富士山信仰と密接に結びついている。

すぐ手前の右手には、包丁塚がある。

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この包丁塚が作られたのは、1976年(昭和51年)のことで、品川区鮨商組合連合会発足25周年を記念して作られたものだ。
包丁の労を謝するとともに、調理された生き物を慰霊し、あわせて業界の発展を願って建立されたものだと記されている。

また、包丁塚の右となりには、東京都八名勝に選ばれた記念碑もある。

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さて、奥に目をやると、右手前には、御嶽神社が祭られている。

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御嶽神社の起源は土着の山神様と山岳信仰が結びつき、明治期になって廃仏毀釈運動の中で、神道と結びついていったと考えられている。

さらに、御嶽神社の左側には、立派な舞殿がある。

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やっとたどり着いた本殿は、1964年(昭和39年)の建築である。

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さて、ここからは見えないが、左手裏には、板垣退助の墓があり、夫人や子供達の墓もここにある。

そして、本殿から右に目を向けるとまっ赤な鳥居が続く不思議な空間が現れる。

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その先には『阿那稲荷』が現れる。
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さらにこの社のすぐ右手に下に降りていく鳥居の列がある。
ここを下ると、ここ品川神社のある山の中腹に穿たれた場所にでて、そこにも社があり山肌から清水が湧き出している。

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ここは、『一粒万倍の泉』とよばれる霊水で、お金や印鑑に下の写真の水をかけると良いそうだ。

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さて、この品川とは思えない異空間から、元に戻るべく階段を登ると、その左手にまたまた不思議な形をしたものが現れる。

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これは『忠魂碑』で、明治43年に品川町在郷軍人会が、日清日露戦争の戦没者慰霊のために、乃木希典大将の揮毫で、当時この近くにあった東海小学校構内に建立された後、権現山公園(城南中学校前)に移されたが、昭和20年の終戦後、占領軍の命令で撤去され、千葉県南行徳にある源心寺に長らく保管されていた。
平成7年に、終戦50周年記念事業の一環として、ここ品川神社に里帰りし、祭られることとなった。

とても歴史のある神社だが、新しいものも同居していて、ゆっくり散策するにはとても良いところであった。
まさに都会のオアシスといったところだろうか。


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コメント 18

cuervo

先ほどは当方のブログにお立ち寄りコメントも有難うございました。

品川神社は良く通る所です、こんなに奥深いとは思ってもいませんでした、
港区、品川区に仕事場が多いのでこの界隈は良く通っているのに。
明日は東海橋の上流数KMの所での仕事なので帰りにでも品川神社に立ち寄ってみたいと思います。



by cuervo (2009-07-15 02:06) 

Yuki

鳳凰ですか?
ホント、レトロな色ですけど新しいんですね。^^
by Yuki (2009-07-15 06:00) 

kskouzik

品川にこんな所あるんですね
今度機会作って行ってみたいです
by kskouzik (2009-07-15 06:20) 

八丁掘

祖父母の家に遊び行くとよく品川神社へ行ったなぁ~富士塚は登るの楽しかったなぁ~。お稲荷さんは薄暗くて少し神秘的な感じを受けた記憶があります。夏の早朝に行くのが一番気持ち良いかもですねぇ~(^o^)
by 八丁掘 (2009-07-15 07:34) 

駅員3

@ミックさん、cuervoさん、onyanko87さん、Yukiさん、kskouzikさん、Krauseさん、takemoviesさん、いわもっちさん、shinさん、八丁堀さん、jirocharさん、おはようございます。
ご訪問とniceありがとうございます。

⇒cuervoさん
ご紹介したものの他にも「狛犬」にかかるお話や、品川大根の話など、まだまだたくさんの話題がある場所です。
ぶらりとお散歩されるのには、よいと思います。

⇒Yukiさん
そうですね、どういう意味をこめて、鳳凰を欄干の上に飾ったのかは、わかりませんでした。

⇒kskouzikさん
わざわざ行くということもないのでしょうが、ここら辺には、まだまだ面白いスポットがあるようですから、それら巡られると楽しいと思います。

⇒八丁堀さん
なんと、地縁があったんですね。
お稲荷さんはそうでしょう、私もここを訪れて、なにか普通のものと違う雰囲気を感じました。
by 駅員3 (2009-07-15 08:21) 

空楽

今日は15日だったので
神社のお掃除に行ってきました。
七福神めぐり行ってみたいです。
by 空楽 (2009-07-15 12:13) 

さなゆき

なんだかお参りした気分になれました(^_^

ありがたやありがたや。。
by さなゆき (2009-07-15 12:34) 

ナカムラ

目黒川の水が我が家のそばにある落合処理場からの水だったなんて・・・・知りませんでした!
by ナカムラ (2009-07-15 12:40) 

mwainfo

品川神社 浅間神社 御嶽神社 、歴史のいきさつは紆余屈折、相当な調査と手間を要しますね。ご苦労様です。拍手!
by mwainfo (2009-07-15 16:13) 

くまら

龍が居る鳥居って初めて見ました^^
by くまら (2009-07-15 18:27) 

abika

すごいですね^^ よく調べましたね。
いつも思いますが、ブログじゃなくて、テレビ番組のリポートを
見てるみたいです。これで、毎日アップしてるから、ほんとにすごいです♪
これからも楽しみにしています♪
by abika (2009-07-15 19:23) 

qoo2qoo

こんばんわ☆
いつもありがとうございますo(´▽`*)/
品川のこんな感じの場所があるんですね!!
※夏はアイスですよね☆
by qoo2qoo (2009-07-15 20:22) 

yuki999

大黒天がいいですね。
by yuki999 (2009-07-15 23:06) 

駅員3

みかんママさん、enosanさん、小父蔵さん、空楽さん、さなゆきさん、ナカムラさん、ガンバルおやじさん、genさん、飛騨の忍者ぼぼ影さん、paceさん、mwainfoさん、くまらさん、qoo2qooさん、リンさん、abikaさん、ponchiさん、yukiitanさん、yuki999さん、単騎さん、gunsandsmithさん、ブラザーボブさきもとさん、HALさん、水郷楽人さん、おはようございます。
ご訪問と、niceありがとうございます。

⇒空楽さん
ご奉仕お疲れ様でした。
七福神めぐりは、全国各地にありますね。
いろいろ行かれるのも楽しいかも(^^)

⇒さなゆきさん
ありがとうございます(^^)
次回どこかの神社に行くときは、さなゆきさんのご健康と、ご隆昌を祈願してきますね(^_-)

⇒ナカムラさん
あ、ブログを拝見していると落合界隈お住みのようでしたね(^^)

⇒mwainfoさん
過分なお言葉ありがとうございます。
今回は、だいぶはしょってしまい・・・というか、メインが品川神社のようになってしまい、品川神社のことはもっと書きたいことがあったのですが、省略してしまいました(^^;

⇒くまらさん
私もこのような鳥居は初めて目にしました。
なかなか立派で、迫力のあるものです。

⇒abikaさん
過分なお言葉ありがとうございます。
けっこう手抜きの部分もあるのですが(^^;・・・

⇒qoo2qooさん
最近は一年中アイスリームを食べるようになりましたが、やはり似合うのは『夏』ですね(^^)

⇒yuki999さん
この大黒様は結構大きさもあり、表情もお優しく立派です(^^)
by 駅員3 (2009-07-16 07:41) 

さといも野郎

品川神社の鳥居は確かに珍しいですね。
今度チェックしに行ってみます(^^
by さといも野郎 (2009-07-17 01:29) 

駅員3

空兵-Sさん、さといも野郎さん、おはようございます。
ご訪問とniceありがとうございます。

⇒さといも野郎さん
境内をぶらぶらすると、色々な発見があって楽しいと思います。
記事にはしませんでしたが、まだまだたくさん面白いものがありました。
by 駅員3 (2009-07-17 07:41) 

jun

鳥居の龍さんが立派ですねぇ~。
見に行ってみたいなぁ~
by jun (2009-07-19 00:00) 

駅員3

junさん、sakさん、kiyotimeさん、cheeさん、こんにちは、ご訪問と、niceありがとうございます。

⇒junさん
私は、このような鳥居を見たのは、初めてです。
ぜひお近くに行かれた際にはお立ち寄りされるといいと思います(^^)/
by 駅員3 (2009-07-28 13:13) 

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