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Unknown Soldier [ボーイスカウト]

今日は昨日に続いてボーイスカウトネタです。
ご存知のかたは、読み飛ばしてください。

昨日アップした記事の中で、横浜にあるこどもの国が話題に出ました。
ここは、現在の天皇陛下ご成婚の記念事業として、1961年(昭和36年)にアメリカから返還された横浜の旧日本陸軍田奈弾薬庫補給廠跡地に自然を生かした遊園地として造成したもので、1965年(昭和40年)に開園しました。

こどもの国3.jpgさて、ここには弾薬庫跡やトンネルなどがそのままの形で残されていますが、ある弾薬庫の入り口をふさいで、レリーフとスカウトの像があります。

太平洋戦争の末期、南洋の島々で日米両軍の死闘がくりかえされていたころ、南洋のある島に出征したソルトレーク市出身の一アメリカ兵が、日本軍と戦闘を交えた際に負傷して気を失い倒れてしまいました。
気がついたとき、友軍は引揚げた後で周囲にはだれも残っていませんでした。そのときに、銃剣を手に恐ろしい形相で突撃してくる日本兵の姿が目に映りました。
地面に倒れている自分の、喉元へと銃剣が迫るのを見たときに、そのアメリカ兵はふたたび気が遠くなってしまいました。
その時です。幼いときからボーイスカウトで活動していた彼は、その瞬間、無意識のうちにボーイスカウトの敬礼・・・三指の敬礼・・・をしていたのでした。

こどもの国.jpgしばらくしてふと気がつくと、辺りには誰もいません。「そうだ、傷は?」見ると立派な手当てがしてありました。
起きあがってあたりを見回すと、かたわらの木の小枝にぶら下がっている小さな紙片が目につきました。
広げてみると、英語で書いてありました。

「私が君に近づいたとき、君は三指の敬礼をした。 自分もかつては日本のボーイスカウトだった。ボーイスカウトは世界の人すべてが兄弟だ。三つの誓いをあらわす三指を見てスカウトとしての気持ちがよみがえり、兄弟でありかつ傷ついているきみを殺すことはできなかった。手当をしておいた。1日も早く回復してほしい Good luck !!」

DVC00056.JPGのちに負傷したこのアメリカ兵は本国に送り返されました。
太平洋の孤島の戦場でめぐりあった、日本とアメリカの兄弟スカウトの話しを聞いたアメリカ兵の父親は非常に感激し、これこそ真の兄弟愛であると、ボーイスカウトアメリカ連盟事務総長のシャック氏に伝えました。
この話しが1952年(昭27年)4月19日、ソルトレーク市で開かれたアメリカ第7地区のボーイスカウト年次総会の席上、ジャック総長から発表されると、大きな反響を呼び、その後この話は、アメリカのボーイスカウトの雑誌『スカウティング』『ボーイズ・ライフ』や新聞にも報道されました。

この話は、日本にも伝わり、日本の新聞にも報道されて大きな波紋を投げかけ、日本全国でこの戦場のスカウトを探す努力がされましたが、残念ながら見つからず、おそらく戦死したのではないかといわれています。

こどもの国2.jpgのちにこの波紋は日本中のスカウトの募金運動にまで発展し、1966年(昭和41年)5月5日に、ボーイスカウト第5代総長久留島秀三郎らが中心になって、無名のスカウト戦士の記念像が建立されました。

その除幕式には、日米のスカウト1500名が集まってセレモニーが行なわれたそうです。

やはりボーイスカウトは、ベレーよりもハットのほうがお似合いですね[わーい(嬉しい顔)]

 


 


 

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コメント 16

gardenwalker

こんばんは
とてもいい話ですね
事実は小説よりも奇なり・・・でしょうか
極限状態の中でも人間の心の奥を見た気がしました
by gardenwalker (2009-10-06 00:02) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

朝から良いお話です。

ちなみに、松本はソルトレークシティーと姉妹都市です。
by BPノスタルジックカーショー (2009-10-06 05:22) 

駅員3

qoo2qooさん、xml_xswlさん、gardenwalkerさん、キャラハンさん、yukitanさん、燕っ子さん、magicalkidさん、BPノスタルジックカーショーさん、ガンバル親父さん、いわもっちさん、c_yuhkiさん、小父蔵さん、おはようございます。
ご訪問と、niceありがとうございます。

⇒gardenwalkerさん
はい、ボーイスカウトの逸話として広く世界に語り継がれている話が二つありますが、この話は、そのうちの一つです(^^)

⇒BPノスタルジックカーショーさん
この話を題材に小説でも書けたら良いなぁなんて色々ストーリーを考えては消えていきます(^^;
松本とソルトレイクは姉妹都市だったんですね。
あ、ひょっとしてオリンピックつながりでしょうか?
by 駅員3 (2009-10-06 07:57) 

emu310

涙がにじんでしまいました。

by emu310 (2009-10-06 08:22) 

お茶屋

久しぶりに伺ったこの話☆
幼い頃のスカウト活動は、ホント今の自分の礎になっているように
思います♪
by お茶屋 (2009-10-06 10:01) 

長森建設

改めて…子供の頃の「教育」って大事ですね!
とても良いお話です。
by 長森建設 (2009-10-06 11:02) 

Ranger

きびきびした敬礼が、いいですねぇ^^

スカウト1500名って、凄い・・・・みてみたかったです
by Ranger (2009-10-06 11:28) 

テリー

すてきな話ですね。
by テリー (2009-10-06 12:05) 

くまら

じっくり読ませて頂きました
良いお話ですね^^
by くまら (2009-10-06 12:07) 

mwainfo

素晴らしい話を有難うございます。中村天風にもこのような話があります。
戦時中、日本に不時着したB29の捕虜を手厚く扱った話です。荒縄で縛られた捕虜を住民たちが懲らしめているのを見て、お前たちの息子が敵地で捕まり同じ危害を加えられたらうれしいか、荒縄を解いてやれと諭した。
捕虜を憲兵隊の隊長に引き渡し、「武士道は敵を愛するところにある。客人扱いにしてやれ」と頼んだ。そのアメリカ人は戦後、新聞記者になり命の恩人の天風を探し出した。これがきっかけで、GHQで講演することになり、来日中のロックフェラー3世が同席し感銘を受けたといいます。

by mwainfo (2009-10-06 12:12) 

pace

その精神を現代も忘れないで欲しいと切に思います
by pace (2009-10-06 13:39) 

qoo2qoo

こんばんわ☆
いつもありがとうございますo(´▽`*)/
素敵なお話ですね!読ませてもらってました!
※お礼までに失礼します。(*- -)(*_ _)ペコリ
by qoo2qoo (2009-10-06 20:57) 

しおつ

子供の国が弾薬庫だったのは知ってましたが、
そのようなレリーフがあったのは知りませんでした。
戦場でもそのような出来事があるのは
ボーイスカウトの精神性のあらわれですね。
by しおつ (2009-10-06 22:09) 

駅員3

空楽さん、みかんママさん、はくちゃんさん、emu310さん、Kraudeさん、@ミックさん、genさん、お茶屋さん、夢空さん、漂流楽人さん、enosanさん、長森建設さん、Rangerさん、トメサンさん、mwainfoさん、釣られくまさん、テリーさく、くまらさん、paceさん、shinさん、あーちゃん&父さん、swm104さん、
HALさん、ビアンカさん、ほりけんさん、ドラもんさん、ナカムラさん、急行みまさか81号さん、しおつさん、今造ROWINGさん、単騎さん、junさん、おはようございます。
ご訪問と、niceありがとうございます。

⇒emu310さん
ありがとうございます。
この話はボーイスカウトの一つの象徴的な話としていつまでも語り継がれることでしょう。

⇒お茶屋さん
そうでしょう。
きっとお茶屋さんがスカウトだった時代のリーダーは、お茶屋さんのご活躍を喜んでいらっしゃることと思います。

⇒長森建設さん
はい、そうですね、まさに今、ボーイスカウト年代の子供たちの教育の重要性が問われていると思います。

⇒Rangerさん
そうですね、この日米のスカウトはきまってますね(^^)

⇒テリーさん
ありがとうございます。
この話はいつまでも世界中のボーイスカウトの間で語り継がれていくことでしょう。

⇒くまらさん
ありがとうございます。
体調はいかがですか?

⇒mwainfoさん
あ、この話、聞いたことがあります(^^)
これもいい話ですよね。
そもそも日本は武士道の日本です。
第一次世界大戦時の捕虜の扱いは、とても評価が高かったと聞いたことがあります。

⇒paceさん
はい、そうですね。
いつまでもボーイスカウトの間では語り継がれる逸話だと思います。

⇒qoo2qooさん
ありがとうございます。
今のフォーマル教育、インフォーマル教育で欠けているものを補えればいいですね。

⇒しおつさん
ありがとうございます。
戦火の極限状態の中で、このような行動を取れたのは、すばらしいことだと思います。
by 駅員3 (2009-10-07 08:05) 

さといも野郎

これ見たことがあります!
レリーフ見てぐっときたのを覚えています!
by さといも野郎 (2009-10-07 21:23) 

kiyotime

ええ話やなあ、、、国境を超えた兄弟、、
久々に三指の敬礼でこの記事を後にします、、
by kiyotime (2009-10-14 21:52) 

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