学生街の四季 シンガポール編1 [学生街の四季]
今日は久しぶりにJAY-WALKのSTARGAZERを聴きながらお読みください。
以前書いたショートストーリーで、先日もリンクを貼った学生街の四季シリーズの次のストーリーで登場する『陳淑雲』はどんな人なんだ?・・・等の質問を以前よりたくさんいただいておりました。
そこで今日はちゃちゃっとそのなれ初めを書き始めたら、とても一回では終わりきらず、やむなく何回かに分けて、アップさせていただきます。
まずは、上のリンクからお読みいただいても、こちらを読んでから上のリンクに行ってもどちらでもいいかと思います。
健作は、シンガポール市内の道を歩いていた。
ダンマンハイスクールで熱帯雨林でのサバイバルに関する授業を手伝うためだ。途中の道沿いの運河には木製の比較的大きな船がたくさん泊まっていて、子供たちが運河に飛び込んで遊んでいる。
街中には車が溢れ、東京の都心部と変わらぬ喧騒が溢れていた。学校に近づくと、塀の向こう側からはなにやらにぎやかなチャッパ(中華文化圏のシンバルのようなもの)や太鼓の音が聞こえてきた。門を入ると、黄色い大きな獅子頭を被った生徒が獅子舞の練習をしている。
前足役と後ろ足役の二人一組で演じている。
高さ1mくらいの小さな台の上でまるで一匹の獅子であるかのように舞っていた。
よくもまぁ、こんなアクロバティックな演技ができるものだ。
その横を通ったとき、「あっ、危ない!」誰かが叫ぶと、突然獅子舞の台が壊れて上に乗っていた二人が頭から落ちてきた。
健作は、落ちてきた二人を受け止めるとその場に転がった。
まるでスイッチが切れたように鳴り響いていた音楽は止まり、その場が凍りついた。
一瞬真っ白な時間が何分すぎただろうか、健作の耳に蝉のうるさいような泣き声が戻ってくると、立ち上がって獅子舞の二人に駆け寄った。
二人は、「いてて・・・」といいながら獅子舞の被り物を脱ぐと、なんと獅子の中に入っていた二人は少女だった。
「君たち、大丈夫かい?」と健作は手を出すと、前足役の少女は、その手につかまって立ち上がった。
「どうもありがとう。あなたがいなかったら、きっと大怪我していたわ。」
どこも怪我をしていないようだった。
しかしよっぽど驚いたのだろう、しっかり健作の手を強くにぎったままだった。
少女は健作の手を握り締めたままであることに気がつくと、ほほを赤く染めてうつむきながら手を引っ込めた。
「どこも怪我が無くてよかったね。それじゃ失礼。」
健作はその場を離れると、校舎に入った。
出迎えた副校長と挨拶を交わすと、なんと流暢な日本語で挨拶してきたことに、健作はビックリした。
副校長の案内で、職員室隣の小さな会議室に通された。
途中の廊下の壁には、M16アサルトライフルの分解組み立て図が掲示されている。
徴兵制度のあるシンガポールでは、高校でM16分解組み立てを習う。
しばらく会議室で授業の内容について打ち合わせた後、教室へと向かった。
高校2年生の教室に入ると、最初に目に飛び込んできたのは、先ほどの獅子舞の前足役をしていた女子生徒だ。
一条の光が、その少女を照らしているように健作の目には映った。
少女も健作をじっと見つめている。
その後の1時間、健作はどのように授業を進めたのか、全く記憶に無かった。
無事授業が終わると、生徒たちからは盛大な拍手をもらって、深く一例すると廊下にでて職員室へと向かった。
「健作先生!」 後ろから誰かが走りよってくるのがわかって、健作は振り返った。
「先生、さっきは本当にありがとうございました。」
件の少女である。
ショートカットの髪型はボーイッシュでありながら、とてもかわいらしく、大きな瞳でじっと凝視されると、健作は瞬間心の奥底まで見つめられた気がして、今度は健作が視線をそらしてうつむいた。
健作はふっと息を吐き出すと、顔を上げた。
「さっきは大丈夫だった? どこか痛いところはない?」
「はい、おかげさまでどこもケガしなかったです。」
「それにしても素晴らしい演技だったね。」
「ありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです。」
簡単に会話を切り上げ少女に別れを告げると、職員室へと戻り授業が終わったことを報告した。
簡単に先生方と打合せをした後ダンマンハイスクールを辞して、シンガポール大学に寄ってからホテルに戻ると、シャワーを浴びた。
42度の湯を出しっぱなしにして身体をシャワーに打たせていると、獅子舞の少女の顔がまぶたの向こうに映ってくる。
あの少女のことを考えると、胸が高鳴る。
バスルームから出て着替えていると、突然ベッドサイドにおいてある電話が鳴った。「こちらはフロントですが、健作さまに『陳淑雲さん』がお見えです。」
・・・・つづく
さて今日の千羽鶴です。
千羽鶴 38/1000
ネタがつきはじめたせいか、これを『鶴』と呼ぶには少し無理があると思うのですが、お許しください。
さて、明日日曜日はナイアガラに乗務します。
明日のまかないカレーは・・・ヒミツです(^^)
たぶん、おいしいと思います。
食べたい方は、お越しください。
ただし、必ず食べられるとは限りませんので悪しからず(^_-)/
今回の鶴はキリンみたい
by くまら (2014-03-30 00:50)
近いうちにナイアガラには行ってみたいと思っています.
よろしくお願いします.
by 唐津っ子 (2014-03-30 00:50)
「学生街の四季」はリンク記事から読ませて頂きました。
ほとんど白紙の状態なので、あまり突っ込んだ感想は書けないのですが
情景描写が素敵ですね。
ナイアガラ、雨が止んだら行きたいですね。
by PENGUIN (2014-03-30 00:53)
ぐわ~!ボク大好きです。こういう登場人物たちの掘り下げエピソード!
お話の深みが増しますよね!
講師と外国の少女。萌えマスです!
実際の駅員3さんの話ってことなら、なれ初めエピソード気になるんですがマジでw
by ちょいのり (2014-03-30 03:45)
おはようございます
い~やああ、久しぶりの登場ですね(^_^)ニコニコ
by すー (2014-03-30 04:54)
愛嬌のある鶴様ですね〜楽しいです〜>^_^<
by 沈丁花 (2014-03-30 06:11)
青春の一抹の淡い恋 なかなか上手く情景がえがかれています
健作くんと駅員さんがだぶって見えます
いい文章です
by kojiyan (2014-03-30 06:45)
翼を閉じた姿も新鮮ですね
by さる1号 (2014-03-30 06:55)
おはようございます。時代を感じるショットですね。^^;
by ソニックマイヅル (2014-03-30 08:02)
鶴の折り紙面白いですね。
by pandan (2014-03-30 08:11)
折り鶴が、二本足で立ち上がっている姿は、
バランスが難しいと思いますが、お見事です。
by とし@黒猫 (2014-03-30 08:57)
益々ミステリアスな駅員3です。
by orange (2014-03-30 09:44)
続編が楽しみです。
この鶴の格好、どこかで見たような。。。
・・・・何故か、角兵衛獅子が思い浮かんでしまいました。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2014-03-30 11:12)
二本足で立つ姿は凛々しさを感じますね
話の展開も楽しみです
by いそいそ (2014-03-30 12:13)
記事を拝読してJAY-WALKコンサートに昔行った事思い出しましたww
by JUN (2014-03-30 12:27)
たしかに凄い鶴!?ですね^^
でもまだ38/1000、これからもっと
奇抜なのもあるんでしょうね♪
by 昆野誠吾 (2014-03-30 17:25)
シンガポールは、妻と初めて行った外国です
顧客の工場竣工式に招かれ、妻を連れての個人旅行
言葉が通じない3泊4日の珍道中でした
by koh925 (2014-03-30 17:28)
甘酸っぱい香りが漂うラブストーリーになっていきそうですね。。。^^
by 銀狼 (2014-03-30 18:18)
シンガポールの少女の純情ところに駅員3さんの優しさを覚えます。
立ち姿勢のツルもリアル感があって良いと思いますよ。d(^_^o)
by ナビパ (2014-03-30 18:49)
今晩は。
折鶴スマートです。
by 夏炉冬扇 (2014-03-30 19:15)
今日の鶴は鷺にも見えますね^^)♬
by 獏 (2014-03-30 19:32)